活躍中の卒業生に聞いたパレットクラブの魅力

吉岡ゆうこ

1期、2期、3期イラストコース卒業

よしおか・ゆうこ…東京武蔵野生まれ、武蔵野育ち。女性誌、広告、書籍、企業PR誌、WEBサイトなどで活動中。
http://www.atelier-fabrique.jp/

●パレットクラブ スクールに通うきっかけ

小さい頃から絵が大好きで、絵ばかり描いていました。絵だけ描いていれば満足で、小さい頃の夢は漫画家か絵描きさん。中学生のときに漫画家になりたくて、集英社に投稿したりしていたけど、高校生でやっぱり無理かもと。大学に入って、舞台美術を学ぶけど、立体は向いてないからと就職していなかったときに、友達の話で、イラストレーターの道があることに気づきました。学校に行ってイラストレーターになろうと思ったときに、『イラストレーション』で広告を見て、先生も豪華で、当時は審査があって合格できたので、通うことにしました。

●パレットクラブ スクールに通って

1年目は、美術大学に行ったとはいえ、何年も絵を描いてなかったから、1から始める感じで全然分からなくて、手探りの状態。課題もあんまりやらなくて、まじめではなかったです。でも2年、3年目は、イラストの方向性が見えてきて、充実してきました。先生に褒められると図に乗って描いていって、必然的にうまくなるから、自分でいい方向に向いてきたと思います。1年目だとまだ足りないし、2年目だといい時に向かっているときに断ち切られるのがいやで、3年通いました。
褒められるだけでなく、厳しい意見も言われて、万人に好かれるのはありえないから、褒められる言葉だけを聞いてればいいかと。3年目から河村ふうこさん、毛利みきさん、宮本和沙さんと仲良くなって、友達関係も充実して。みんなすごく素敵な絵を描くし、すごく刺激されるし、また刺激を受けて、自分の絵もどうにかしようと思うし。段階を踏んで行って、1年じゃ物足りないし、3年間通ってよかったです。3年目になるとイラストにこなれてきて、友達のイラストもどんどんよくなってくるとあせりを感じて、自分もよくしようとするからすごくいい刺激になりました。友達の存在はとても大きかったです。

●授業

上田三根子さんの授業では、自分の原稿を持ってきて、その場で描いてくれて、どのようにマーカを使えばよいかなどが分かりました。寺井剛敏さんは当時、広告代理店の方だったし、印象で言わないで、指摘も的確。使う人側の意見を言ってもらえるから、参考になりました。そして、著作権やギャラのことなどとても実務的な話をしてくださいました。絵を描くだけじゃなくて、実際に絵を頼まれたときに、こういうことに気をつければよいのが分かりました。
原田治先生は、「イラストレーションはアートでなくて商業だから、自分独りよがりのイラストを描いてもあまりよくないよ。無理に明るくしなくてもいいけど、商業ベースにのっているのだから、わきまえないと」とアドバイスしてくれました。クライアント、編集者の意見もふまえないとダメなんだなって知りました。これから仕事をしていく上ですごくためになりましたね。授業中にメモしたパレットノート、今だに見返して、まだ参考にしているときがあります。

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●最初の仕事

パレットで1期の後に卒展があって、それに向けて自分たちの手作りの作品ファイルを作りました。デザイン事務所や出版社に送ったのですが、卒展の後にオレンジページの方から連絡があって、協力したお店リストの女の子の小さいカットを描きました。当時、同級生の大塚沙織さんが大抜擢されて、ドカーンと出ちゃったから、すごい憧れで、いいなー彼女みたいになりたいと思ってました。仕事をしたら、雑誌はすごい出版数だから、他の出版社の方が見て仕事をもらったりしましたね。
パレットに通っているときは、フリー絵コンテ屋さんのバイトを始めて5、6年続けました。徐々にイラストの仕事も増えてきて、絵コンテ屋さんを平行していくのが無理なので、辞めることにしました。でもその年は収入が激減して、完全にイラストレーターだけに移行したときはきつかったですね。
今年でイラストレーターとして、10年目。何とかやってこれました。10年続けられたら、なんかいいかな。 いきなりイラストレーターになれるのは、ごく一部。最初は小さいカットから始めて、だんだん中くらいのサイズのカットになっていきました。

●仕事

書籍のカバー、会社の会報誌の表紙、東急百貨店、新しくオープンする複合施設、不動産などの広告、WEBサイトなどをやらせてもらいました。イギリスの本のカバーもやりましたね。HPを開設してから、世界中の人が見ているので、これからの人は英語ができるといいと思います。
これからやってみたいのは、絶対にしたいのはCM!動画でアニメーションの形で参加したいな。
あと、すごい映画が好きだから、絶対!映画の広告のポスターを描きたいです。

●影響を受けた人

映画だと『グランブルー』ですね。ほかにはフランスのイラストレーター、KIRAZ。今も現役で、昔は『PLAY BOY』で描いていました。パリの停留所の大きなポスターを見て知りました。映画の場面を切り取った、ユーモアも交えて、流れの一場面を切り取ったようなイラストが描きたくて、すごく影響を受けましたね。上杉忠弘さん、メグホソキさん、長崎訓子さんからも影響を受けました。

●パレットクラブ スクールの講師を経験して

1回目の時は無我夢中でしたが、前回の3回目のときは少し慣れてきました。人の絵を講評するのは、難しいことでもあるんだけど、自分の絵も見直しているんだなって思いました。自分も生徒だったから、生徒の気持ちも分かるし、褒めるだけでなく、直したほうがいいと伝えなきゃいけないこともある。指摘するというよりも、悩んでいたら、一緒にそのことを解決していこうよ、という気持ちで教えています。厳しく言われて、これはよくないアドバイスだと思ったら、つき放してもよいし、自分の気持ち次第で、自分にとってためになるアドバイスだけを拾ってくれればいいのかなと思っています。教わった生徒の立場から言うと、自分では納得できない意見を言われても、悩むべきだけど、深く考えず、適当に受け流したときがいいときもあると思いますよ。

●生徒さんへのアドバイス

厳しいことを時には言われるかもしれないけど、イラストレーターになりたい気持ちがあれば、すべては自分のためだと思って、目標を立てて頑張ってほしい。最初に立てた目標は最後までやってほしい。強い気持ちがないと絶対実現できない。パレットでは学生だけど、受け身の立場だけでなく攻めていかないと。積極的に授業に参加してほしいですね。そして、独りよがりはよくないから、イラストだけでなく、いろんな作品を見て、絵画から日本画、デザイン書などイラスト以外のたくさんいいものを見れば自分の引き出しにもなると思います。

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