活躍中の卒業生に聞いたパレットクラブの魅力

そで山かほ子

11期イラストコース卒業

そでやま・かほこ…東京都在住。安西水丸塾受講。チョコレートが溶けたようなアクリル絵の具をたっぷり塗った作品や独特のタッチの線画が魅力。広告・雑誌・書籍などで幅広く活躍中。近年はプライウッドのカットワークのプロダクトも手がけている。
http://sodekaho.com

●パレットクラブを選んだきっかけ

イラストレーターになる前はアパレル業界で働いていましたが、専門的なスキルを身につけて、長く続けられる仕事をしたいと思うようになりました。小さい頃から絵を描くことが好きだったので、イラストレーターになろうと・・・。どうやったらなれるのかを教えてくれる学校を探しました。絵を学ぶというよりも、どうやったら職業としてやっていけるのかを教えてほしかったので、現役のイラストレーターやデザイナー、編集者が講師にいたパレットクラブに決めました。会社を辞めてバイトしながら通ってましたね。

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●授業

上田三根子先生の授業がすごく勉強になりました。「10代、20代、30代と人物を年齢別に描き分ける」という課題だったのですが、今まで年齢を意識して描いたことはなかったので。イラストレーターを職業とするなら、細かなことも描ける技術が必要なのだと気づかされました。 自分はイラストレーターに向いてないのかもと思うときもありましたが、三根子先生に褒められたことが嬉しくて、とても励みになりました。

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カタログ表紙『unico2017』

●パレットで役立ったこと

実際の仕事に近いかたちの課題は、実践的でとても勉強になりました。それと飯田淳先生の「毎日一枚描いて白い紙への恐怖感をなくす」という言葉が印象的で、今でもなるべく毎日なにかを描くようにしています。

●最初の仕事

卒業後に参加したグループ展を見てくださったデザイナーさんから最初のお仕事をいただきました。またその頃、安西水丸塾にも通っていて、そこで仕事をたくさんしている先輩たちにつながりを広げてもらいましたね。その後「GINZA」のリニューアル号に起用していただいて、それを機に仕事が増えた気がします。

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雑誌表紙『HOUYHNHNM Unplugged』
(講談社)

●最近の仕事

雑誌が中心です。ファッション系をはじめジャンルは幅広いですが、似顔絵を描く仕事が多いですね。それからゴルフウェアブランドとのコラボやステーショナリーなどのグッズの仕事もしています。最近では、ディズニーとのコラボもやらせていただきました。あとは定期的に個展を開いて、木の作品を発表しています。アメリカを旅した時に、古い手書きの木の看板(サインペインティング)がとてもかっこよくて。自宅にそういうアンティークの看板を飾りたいなと作り始めたのがきっかけで、今ではライフワークになっています。

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アートブック『Journey Around HEARTLAND』
(キリンビール)

●イラストレーターになって

優雅な職業という印象がありましたが、実際は体力勝負!作品を作る以外にもスケジュール管理、事務仕事などすべて自分でしなければいけません。でも自宅で、好きな時間に好きな仕事ができるという点では、幸せな職業だと思います。食べていけるようになるまで4年くらいかかりましたが、これからも維持していけると良いです(笑)。イラストレーターはアーティストと違って依頼ありきの仕事です。時には自分の好みとは異なる要求をされることもありますが、完成した印刷物が良くなることが一番ですから、私は自分の描き方も色も変えて良いと思っています。

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映画広告『ニューヨーク眺めのいい部屋売ります』

●影響を受けた人

安西水丸さん、上田三根子さん、網中いづるさん。網中さんにはパレット卒業後、自分はイラストレーターに向いていないから諦めようかなと思った時にコンペで選んでいただき、背中を押していただいたようでとても感謝しています。安西水丸さんとはパレットで他コースを聴講した際に初めてお会いし、その後水丸さんの私塾に通いました。

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Munsingwear

●これからやってみたい仕事

画集や絵本など、本を作りたいです。大人の絵本も描いてみたいですし、趣味でアメリカの古い小物を集めているので、それをテーマにした文章と絵の旅行記とか。木の作品はずっと作り続けていきたいので、それを使ったディスプレーの仕事もしたいですね。今、箱庭さんのhaconiwa creatorsに参加しています。異業種の作家さんたちが集まっているプロジェクトで、これからの展開がとても楽しみです。

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オリジナル作品

●生徒さんへのアドバイス

先生が大勢いらっしゃるので意見もいろいろで、迷ってしまう場面もありましたが、パレットで経験したことは何ひとつ無駄ではなかったと今は思います。自分には合わない意見だなと感じる時も、まずは受け止めて描いてみてください。描くことで勉強になるし、思いがけず自分の新しい面を発見することもあります。パレットの先生方はなかなか会うことのできない錚々たるメンバーです。厳しいだけでなく、励まされることも多々あると思いますので、諦めずにご自身の夢を追ってください。

そで山さんの仕事場

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アメリカ西海岸のアンティークモールで見つけた小物たち。木彫りや手作りの人形、かっこいいFONTの洋書。「どれも私にとっては宝物です」。