活躍中の卒業生に聞いたパレットクラブの魅力

阿部結

19期イラストコース、20期イラスト卒業生コース

あべ・ゆい…絵本制作のほか、書籍装画や演劇の宣伝美術などを制作。著書に絵本『あいたいな』(ひだまり舎)『ねたふりゆうちゃん』(白泉社)、共著に『世界不思議地図 THE WONDER MAPS』『サラリーマンのごちそう帖』(ともに朝日新聞出版)などがある。
http://yuiyuiabe.jimdo.com

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●パレットクラブを選んだきっかけ

パレットクラブに入る前は、宮城でアルバイトをしながら絵を描いていて、絵を見たバイト先の方や友人知人からイベントフライヤーの制作を頼まれるようになった事をきっかけに、より本格的にたくさん絵の仕事をしていきたいと思い、上京しました。具体的にどうしたら絵を描いて生計を立てていけるのかを考えた際、自分はイラストを描くことを仕事にしていきたいなと思い、会社に勤めながら休日にパレットクラブに通って、イラストレーターの仕事とはどいうものなのかということを学びました。パレットクラブスクールの受講を決めた理由は、あこがれのデザイナーさんが講師としていらっしゃったことが決め手でした。

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『ねたふりゆうちゃん』
(白泉社)

●パレットクラブに通って

平日仕事をしながらの課題制作はとても大変でしたが、課題をクライアントワークととらえ、必ず提出すると決めて取り組んでいました。そうしてひとつひとつ課題を提出することが出来た経験が、仕事が重なって多忙なときの自分の支えになっていると感じます。自分のコース以外のコースの聴講をできたこともとても良い経験になりました。そしてもうひとつ、お互いに刺激しあい、励ましあえる大切な友人と出会えたことが、本当に大きな財産になったと感じています。

●授業

網中いづるさんの授業の中で、「自分の絵を商品と見立ててどう売り出すか?」という言葉がありました。その言葉は、自分の絵を客観的に捉えるきっかけになった一言でした。授業の中で、イラストレーターとしてずっと第一線でご活躍し続ける網中さんのこれまでの経験談や、次世代のイラストレーター達へ向けた力強い言葉を拝聴して感動して思わず泣いてしまいました。

●最初の仕事

パレットクラブの卒展を見てくださった編集プロダクションの方からご連絡をいただき、雑誌の占いコーナーのイラストを制作しました。

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『ポン・ジュノ映画術』
著/イ・ドンジン(河出書房新社)

●パレットで役立ったこと

イラストレーションの仕事に関して言うと、イラストを使って仕事をする方々の話や意見を直接聞けたことで、自分の絵を客観的に捉えて考えることができるようになった事です。依頼を受けた仕事に対し、ここで自分はどんな表現を求められているのかを、いろんな視点を想定しながら制作するようになったように思います。

●最近の仕事

自身の絵本制作をメインに、本の挿絵や装画、舞台の宣伝美術などの仕事をしています。

●イラストレーターになって

遠く離れている友人知人や家族から、わたしの絵本やイラストの仕事を見たよと連絡をいただけることはとてもうれしいです。仕事面では、デザイナーさん、著者さん、編集者さんなど、様々な人と関わりあいながら仕事をすることで制作物に化学変化が起こり、想像を超えたよいものを作ることができたとき、とてもうれしく感じます。大変なことは、というと・・・しごとは、ぜんぶ、たいへんです。

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『世界不思議地図WONDERMAPS』
佐藤健寿・阿部結/著(朝日新聞出版)

●これからやってみたい仕事

絵本を作ることはライフワークとして、「本」という存在が好きなので、本にたずさわる仕事をたくさんしたいです。舞台にたずさわる仕事もたくさんしたい。未経験の分野で言うと、映画に関わる絵の仕事をしたいです。

●影響を受けた作家

モーリス・センダック、トーベ・ヤンソン、エドワード・ゴーリー、ユーリ・ノルシュテイン、ショーン・タン。

●生徒さんへのアドバイス

自分にもいつも問うていることなのですが、学校ではイラストレーターになる方法を学ぶことはできても、自分が「何を」表現するか、は自分の中からしか生まれません。技法や技術はもちろん重要ですが、そういった表面的な部分だけではなく、これから自分が「何を」表現していきたいのか、 いろんなことを経験し、目にうつる世界をよく見て感じ、考え、日々自分を肥やしていくことが大切なのではないかなと思います。

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新国立劇場演劇『ピーター&ザ・スターキャッチャー』
ポスターイラスト